AIに仕事を任せると、どちらかに振れること、ありませんか。「頼んでもいないことまでやる」。かと思えば「途中で止まって確認ばかりしてくる」。
OpenAI が2025年8月7日に出した「GPT-5 prompting guide」は、このふれ幅を指示文で整えるための公式ガイドです。この記事では、その要点を4つに整理しました。
- どこまで任せるか、度合いを調整する
- 矛盾した指示を入れない
- 指示は区切って書く
- 最後は、AI自身に指示文を直してもらう
2026年9月時点の最新は GPT-6 で、確認のために止まる場面が少し増えました。そのコツも最後に書きます。
※この記事は2026年9月時点の情報です。モデルや仕様は変わることがあります。
※2026年9月追記(この記事の書き直しについて)
この記事は2025年9月11日に公開したものです。当時の本文には、筆者がGPT-5に振り回された末にこのガイドで解決した、という体験の節が入っていました。これは実際の出来事ではありません。出典URLのない他の方のSNS発言の引用と、記事と関係のない書籍の宣伝も入っていました。ぜんぶ削除し、公式ガイドの記載をもとに書き直しています。編集部の使用感は入れていません。

このガイドは、誰に向けたものか
ガイドは OpenAI の開発者向けサイト「Cookbook」に載っています。想定している読み手は、API(プログラムからAIを呼び出す仕組み)でアプリを作る開発者です。ChatGPT の画面の使い方の説明書ではありません。
それでも、非エンジニアに効く話が2つ入っています。矛盾した指示の害と、AIに指示文を直させるやり方です。社内の手順書をAIに読ませる場面が増えた今、ここは知っておいて損はありません。
GPT-5ガイドの要点4つ
1. どこまで任せるかを、指示文で決める
ガイドによると、道具を使って自分で作業を進める使い方(エージェント)では、GPT-5 は初期状態で、正しい答えを出すために情報を広く集めにいきます。手早く済ませたいなら、推論の深さを下げたうえで「どこで調べるのをやめるか」を書く。逆にもっと粘ってほしいなら「解決するまで止まらない」と書く。どちらの書き方も例文つきで載っています。
おもしろいのは、止まる基準を操作ごとに変えるよう勧めている点です。買い物の例では、決済や支払いは迷ったらすぐ人に確認し、商品の検索はめったに確認せず進める。ファイル削除と検索でも同じ考え方です。
2. 矛盾した指示の害を受けやすい
ガイドがはっきり書いている弱点です。GPT-5 は指示にとても忠実なぶん、矛盾した指示やあいまいな指示の害を、他のモデルより受けやすいことがある。どちらかを適当に選ぶのではなく、両方を満たす道を探して考え込んでしまうからです。
例に出ているのは、診療予約の受付AIです。「患者の同意がなければ予約しない」と書いた数行あとに、「急ぎのときは患者に連絡せず、いちばん早い枠を押さえる」と書いてある。ガイドは、後者を「患者に伝えてから」に直して矛盾を消していました。
3. 指示は、区切って名前を付ける
ガイドの例文は、指示を <context_gathering> のようなタグで囲んで書いています。コード編集ツールの Cursor のチームも、構造化したXMLの書き方で指示の守られ方が良くなった、と紹介されています。
同じ Cursor の例では、答えの長さを決める設定(verbosity)を全体では短めにし、コードを書くときだけ詳しく、と指示文で上書きしていました。設定と文章の両方で調整できる、ということです。
4. うまくいかない指示文は、AI自身に直させる
ガイドの締めくくりが「メタプロンプト」です。うまく動かない指示文を見せて、「本当はこう動いてほしいのに、実際はこうなる。元の文をなるべく残したまま、何を足すか・消すかを教えて」と頼む。ガイドには、このやり方で直した指示文を本番に入れた利用者がいた、と書かれています。
2026年9月時点では GPT-6 に。確認で止まる場面が増えた
OpenAI の開発者向けドキュメントでは、いま最新は GPT-6 です(Astra・Sol・Luna の3つ)。ドキュメントには「Prompting best practices」という節もあり、主に GPT-6 Astra で見られた傾向をもとに書かれています。GPT-5 ガイドとの違いで、読者に関係しそうなのは3点です。
- 確認で止まりやすくなった。GPT-6 Astra は、答えが大きく変わりそうなときに、以前のモデルなら仮定で進めた場面でも質問してくることが増えた。進めてほしいなら、その旨を指示文に書く、とされています
- 指示に、さらに敏感なことがある。設定ファイルの中のあいまいな指示や食い違った指示で、早めに作業を止めることがある。読み込ませているファイルの指示を見直すよう、強く勧めています
- 箇条書きや表が多めになる。文章で答えてほしいなら、書き方を指定する
GPT-5 で使っていた推論の設定「minimal」も、GPT-6 では「low」から試すよう案内されています。モデルは変わっても、「矛盾した指示を置かない」という教えは、むしろ大事になったと、この記事では見ています。
非エンジニアが、明日から使える形にすると
ここからは、この記事の提案です。ChatGPT に社内の手順書や「いつもの指示文」を貼って仕事を頼んでいるなら、3つだけ見直してください。
- 矛盾を探す。「必ず上長に確認」と「急ぎは即対応」が同じ文書に並んでいないか。人間は空気で読み分けますが、AIは両方守ろうとします
- 「聞かずに進めてよいこと」と「必ず聞くこと」を書き分ける。下書きや調べものは進めてよい。送信や支払いの前は必ず聞く
- うまくいかなかったら、AIに直させる。指示文と「期待した動き」「実際の動き」を貼って、足す言葉と消す言葉を聞く
たとえば名古屋の小さな工務店で、見積もりの下書きをAIに頼むとします。「値引きはしない」と「常連さんには柔軟に」が同じ指示文にあると、答えがぶれます。どちらを優先するか、1行足すだけで落ち着くはずです。
まとめ
GPT-5 の公式ガイドの芯は、「どこまで任せるかを書く」と「矛盾した指示を置かない」でした。GPT-6 になって確認で止まる場面は増えましたが、この2つの考え方はそのまま役に立つはずです。まずは、いま使っている指示文を1本だけ読み返して、矛盾が1つもないか見てみてください。
出典:
OpenAI Cookbook「GPT-5 prompting guide」(2025年8月7日)
OpenAI API ドキュメント「Using GPT-6」


