「あのチケット、どこだっけ」「この前の議事録、どのスペースに入れたっけ」。JiraとConfluenceを行ったり来たりして、午前中が溶ける。ここで手が止まったこと、ありませんか。
この行き来をAIに任せる公式の仕組みが、Atlassianから出ています。結論から言うと、見るところは3つです。何ができるか、誰が権限を決めるか、費用がどこから引かれるか。
※この記事は2026年9月時点の情報です。仕様や名称は変わることがあります。
※2026年9月追記(この記事の書き直しについて)
この記事は2025年7月に公開したものです。当時の本文には、編集部が実際に触ったかのような「使ってみた」の節と、出どころのない「良い評判・悪い評判」が入っていました。どちらも事実の裏づけがありません。記事と関係のないレンタルサーバーとFXの宣伝も混ざっていました。ぜんぶ削除して、公式ドキュメントを読み直した内容に差し替えました。当時「読み取り専用にはできない」と書いた点も、いまの公式ドキュメントの記載とは合いません(後述)。
なお、この記事は公式ドキュメントと公開情報をもとにまとめたものです。編集部でAtlassian MCPを動かして確かめたわけではありません。
Atlassian公式MCPは、ようするに何をするものか
MCPは、AIを社内のデータにつなぐための共通の差し込み口だと思ってください。Atlassianが公式に出しているのが「Atlassian Rovo MCP Server」です。
つなぐと、AIとの会話の中からこんなことができます。公式ドキュメントが挙げている例です。
- Jira、Jira Service Management、Confluence、Bitbucket などを、ツールを切り替えずに検索・要約する
- Loomの録画を呼び出して中身を確認する
- ふだんの言葉で作業項目やページを作る・更新する
- 議事録や仕様書から、作業を自動で起こす
公式ページには「PROJ-1234の状況は?」「Q2の計画ページを要約して」「この議事録からJiraの作業を5つ作って」といった指示の例が並んでいます(出典:Atlassian公式「Get started with the Atlassian MCP server」)。

2025年の記事から変わった点
つなぎ方が簡単になった
以前は、コマンドで中継役のプログラムを立てる手順が案内されていました。今はサーバーのアドレスを1行渡すだけです。アドレスは https://mcp.atlassian.com/v2/mcp です。
公式サイトにワンクリックで追加するボタンが用意されているのは、VS Code と Cursor の2つ。ClaudeやChatGPT(Codex)は、それぞれの拡張機能・プラグインの一覧から「Atlassian」を探して入れる形です。公式が対応クライアントとして名前を挙げているのは、ChatGPT、Claude、Docker、GitHub Copilot CLI、Google Gemini、Amazon Quick Suite です。
v1からv2に切り替わる
公式は現在v2を案内しています。ドキュメントには「2027年3月1日に、既存のv1の利用は自動的にv2のツールを使い始める」と書かれています。対応していないクライアントは、保存された認証情報を消さないとつながらなくなる、とも明記されています。
ただし、この日付を待つより先に切り替えたほうが安全です。公式の移行手順では、Claudeは古い接続を消してからv2を入れ直す、Claude CodeやCodexは設定を書き換えたうえで認証をやり直す、と案内されています(出典:Atlassian公式「How to upgrade from Atlassian Rovo MCP v1 to v2」)。
会社で使う前に決める2つ
誰に、どこまで触らせるか
ここが2025年版の記事といちばん変わったところです。当時は「読み取り専用にする設定がない」と書きました。今の公式ドキュメントの説明は違います。
公式の対応ツール一覧によると、ツールは読み取り・書き込み・検索といった目的ごとの「権限グループ」に分けられていて、組織の管理者がグループ単位で許可したり取り消したりできます。実行の入口も executeRead・executeWrite・executeDestructive の3つに分かれていて、公式はこの区別を「AIクライアント側で確認を出し分けるためのもの」と説明しています(出典:Atlassian公式「Supported tools」)。
「AIに勝手に書き換えられたら困る」という心配には、まず読み取りだけ許可して始める、という答えが用意されたわけです。
費用はどこから引かれるか
見落としやすいのがこちらです。AIがMCP経由でデータを取りに行くたびに、Rovoクレジットを使います。これはRovoチャットなどと共通の、組織のひとつの持ち分から引かれます。
公式は、消費量が2つで変わると説明しています。ひとつは「サイトから引っぱるデータの量」、もうひとつは「処理の重さ」。軽い検索より、大量に読ませて考えさせる質問のほうが多く減ります。消費はやりとり1回ごとの計上です。なお、いくら分まで使えるかの枠はプランごとに決まっていて、公式は別ページ「Rovo usage limits」に案内しています。金額の目安はそちらで確認してください。
名古屋の小さな会社なら、どう判断するか
そもそもJiraとConfluenceを毎日使っていない会社には、今のところ関係のない話です。使っている会社なら、次の3つで決められます。以下の数字は編集部の目安で、公式の基準ではありません。
- 行き来の回数を数える。 1日に何回、JiraとConfluenceを開き直しているか。5回未満なら急ぎません
- 読み取りだけで始める。 管理者が書き込みの権限グループを切っておけば、事故の範囲はぐっと狭くなります
- 1週間、クレジットの減り方を見る。 減りが読めないうちは全社に広げない
認証の入口も押さえておくと話が早いです。基本はOAuth 2.1で、人が画面で許可する形。管理者が許可した場合だけ、APIトークンを使った自動処理もできます(出典:Atlassian公式「Authentication and authorization」)。
逆に言うと、管理者がAPIトークン認証を止めていれば、ボットやCI/CDのような「人が画面で許可しない自動接続」は使えなくなり、OAuth 2.1での接続に一本化されます。社員本人がブラウザで許可してつなぐ道はふさがらないので、そちらの線引きは前述の権限グループで行います。
まとめ
2025年に「とにかく簡単で神ツール」と書いた記事を、事実だけで書き直しました。今の姿はこうです。
- つなぎ方はアドレス1行。VS CodeとCursorにはワンクリックのボタンもある
- 権限は管理者がグループ単位で決められる。読み取りだけで始められる
- 使うたびにRovoクレジットが減る。全社に広げる前に、1週間だけ測る
- v1のままの会社は、2027年3月1日を待たずに移行の手順を確認しておく
今の運用で困っていないなら、急いで入れる必要はありません。困っているのが「探す時間」なのか「書く時間」なのかを先に決めてから、試す順番を決めてください。


