「長い資料を丸ごと貼ったのに、最後に頼んだことを外してくる」。Claude に限らず、生成AIで長い資料を扱うと、こうなることがあります。
結論から言うと、資料は先に、質問は最後に。Anthropic の公式ドキュメントが、そう書いています。最大100万トークン(モデルによる)入るからといって、置き方を気にしなくていいわけではありません。この記事で見るところは3つです。なぜ長いと外すのか、公式が勧める置き方、会話が長くなったときの切り替え方。
※この記事は2026年9月時点の情報です。仕様や画面は変わることがあります。
※2026年9月追記(この記事の書き直しについて)
この記事は2025年9月1日に公開したものです。当時の本文には、筆者がECサイトの開発でClaudeを使い「資料を末尾に置き直したらうまくいった」という体験の節が入っていました。これは実際の出来事ではありません。出典のない他の方の発言の引用と、記事と関係のない書籍の宣伝も入っていました。ぜんぶ削除しました。さらに、旧記事の「大事な資料は末尾に置く」という助言は、公式ドキュメントの「長い資料は先頭、質問は末尾」と食い違っていました。公式の記載に合わせて書き直しています。
なお、この記事は公式ドキュメントの記載をもとにまとめたものです。編集部の使用感は入れていません。

入る量と、ちゃんと読める量は別の話
Anthropic の「コンテキストウィンドウ」のページには、こう書いてあります。コンテキストウィンドウはモデルの「作業メモリ」で、大きさはモデルによって最大100万トークン。ただし、多ければ自動的に良くなるわけではない。
同じページによると、トークン数が増えるにつれて、精度と再現率(覚えているべきことを取りこぼさない力)は下がります。これを「context rot(コンテキストの劣化)」と呼んでいます。だから、何を入れるかを選ぶことは、容量の大きさと同じくらい大事だ、という書き方です。
人間でも同じですよね。机に資料を100枚広げて「で、結局どれの話?」となる。机が広いほど、置き方の工夫が効いてきます。
公式が勧める、長い資料の渡し方
公式の「プロンプティングのベストプラクティス」には「長文コンテキストのプロンプティング」という節があります。対象は、2万トークン以上の大きな資料やデータを渡すときです。書かれていることを、仕事の場面に置き換えて3つにまとめます。
1. 資料は先頭、質問は最後
長い資料は、質問・指示・例よりも上、プロンプトの先頭近くに置く。公式は、これですべてのモデルで性能が上がると書いています。さらに、テストでは質問を末尾に置くと、応答の品質が最大30%上がることがある。特に、複雑な資料を何本もまとめて渡すときに効くそうです。
旧記事は「大事な資料を末尾へ」と書いていました。公式の答えは逆で、末尾に置くのは資料ではなく、あなたの質問です。
2. 資料が何本もあるなら、区切って名前を付ける
公式は、資料ごとに <document> というタグで囲み、中に出どころ(<source>)と本文を分けて書く形を勧めています。
タグを書くのが面倒なら、「【資料1:A社の仕様書.pdf】」「【資料2:先月の見積書】」のように見出しを付けて区切るだけでも、どこからどこまでが何の資料かははっきりします。これは公式の書き方ではなく、この記事の提案です。
3. 答える前に、関係する箇所を抜き出させる
長い資料の仕事では、作業の前に、資料の関係する部分をまず引用させる。公式はこう勧めています。そうすると、関係する中身に集中して、残りを無視しやすくなる、という理屈です。
たとえば名古屋の設備会社で、取引先の仕様書3本を貼って見積もりの前提を洗い出すとします。頼み方はこうです。「まず、納期と数量と検査条件が書かれている箇所を、資料名つきでそのまま抜き出してください。そのあとで、見積もりの前提を5行でまとめてください」。抜き出した部分を見れば、読み落としがあってもその場で気づけます。
会話が長くなったら、要約して新しく始める
資料の置き方を直しても、やりとりが何十往復も続くと、最初のほうの話はどうしても埋もれていきます。
Anthropic の技術ブログは、この対策として「compaction(圧縮)」を挙げています。上限に近づいた会話を要約して、その要約から新しいコンテキストで始め直すやり方です。ただし、削りすぎると後で大事になる細かい話が消える、とも注意しています。
チャットで使う人向けに、この記事からの提案です。
- 話が長くなってきたら「ここまでで決まったこと、まだ決まっていないこと、前提の数字を箇条書きでまとめて」と頼む
- まとめを自分の目で確認し、抜けていたら足す
- 新しいチャットに、元の資料とそのまとめを貼って、続きを頼む
2番がいちばん大事です。要約はAIが作りますが、何を残すかは人が一度確かめるほうが安心です。
まとめ
- 最大100万トークン(モデルによる)入っても、多いほど精度と取りこぼしは悪くなる(公式が認めている)
- 長い資料は先頭、質問は最後。公式のテストで品質が最大30%上がることがある
- 資料が複数なら区切って名前を付け、答える前に関係する箇所を抜き出させる
- 会話が長くなったら、要約を人が確認してから新しいチャットで続ける
今日やることは1つだけです。次に長い資料を貼るとき、質問を資料の下に移してみてください。
Claude Code で長い作業を分けて進める話は、Claude Code のサブエージェントの使い方にまとめています。
出典
- Claude Platform Docs「コンテキストウィンドウ」(2026年9月27日確認)
- Claude Platform Docs「プロンプティングのベストプラクティス」(長文コンテキストのプロンプティング)(2026年9月27日確認)
- Anthropic Engineering「Effective context engineering for AI agents」(英語・2026年9月27日確認)


